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似て非なるもの。これがS203とS204の関係だ。もちろん、たった1年の間に方向転換が図られたわけでもなければ、なにか特別な要素を取り入れたということでもない。違いはただひとつ、個性の演出方法にある。
ハイパフォーマンスカーと呼ばれるクルマの多くは、それぞれに強い個性を持っている。それがあるからこそ特別に仕立てた意味があるわけだが、S203と過ごした9ヶ月9000kmのなかで唯一、快適性に関してだけは納得できないところがあった。STIは快適性を「プレミアム感」と表現しているが、正直言ってこの部分にはもの足りなさを感じていたからだ。

才色兼備で有名なテニス界の女王シャラポアだが、彼女の筋肉美が女性らしい魅力と共通項であるかといえば、微妙にニュアンスが違うだろう。それと同じように、私が咀嚼したS203像にはギャップがあったのだ。
WRC直系のインプレッサに快適性を求めること自体、賛同し難いかもしれないが、じつのところWRカーはもとより、F1やMotoGPマシンにしても驚くほど快適性が高い。速さと安全性を極限にまで追求したストイックなマシンに共通して言えるのは、人との対話を大切にしていることだ。少なくともSTIがこのSシリーズで作り上げたかったのは、この感性領域での話。メルセデスのAMGや、BMWのMシリーズにしてもそうだが、この両車は、たとえゆっくり走らせたとしても、機能美をギュッと凝縮したような塊感のある走りを見せつけてくれる。
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気分を高揚させるエンジンサウンドも魅力のひとつだろう。クルマ好きの多くが欧州プレミアムカーに惹かれる理由は、こんなところにも見出せると思う。
S204が取り組んだのは、この緻密な走りを手に入れることにある。パフォーマンスダンパーにしても、本来の狙いはコーナリング性能を向上させるものだが、路面からの微細な振動を積極的に吸収する効果もあるわけで、結果としてステアリングフィールを上質なものへと進化させている。また遮音材の追加、シートの一部本革化などによって、五感への刺激を織り交ぜながら独自のプレミアム感を演出することにも成功した。問題はこれからだ。世界に通用するブランドとしてSシリーズを認知させるために何が必要なのか? STIの更なるカードに期待したい。
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1972年 東京生まれ
自動車雑誌の編集部員より転向した、自称・交通コメンテーター。クルマとバイク、異なる社会の架け橋となることを目標とする異色の存在。得意分野は人間主体のITS。広い視野をもつためにWRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンの試乗も積極的にこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)会員。警視庁2輪指導員。ちなみに所有するS203のシリアルナンバーは414/555。
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